だいだらぼっち とは
だいだらぼっちとは、全国各地で伝わっている巨人のことを指しています。
日本には、神様に対する信仰から生まれた伝承や言い伝えが数多くありますが、だいだらぼっちの伝承も、国づくりの神に対する巨人信仰から生まれたと言われています。
その中でも、だいだらぼっちは、山や湖を作るという伝承があることから、山の神様に分類されています。
名前の由来
だいだらぼっちという名前の由来には様々な説がありますが、大人(おおひと)を意味する「大太郎」に法師を付け加えて、「大太郎法師(だいだらぼっち)」とされている説が有力となっています。
その他、「だいだらぼう」や「でいらんぼう」など、各地域によって呼び名が違い、呼び名は数十種類あると言われています。
呼び名の多くは、だいだらぼっちに類似するものが多くなりますが、九州では、「大人弥五郎(おおひとやごろう)」とも呼ばれています。
また、だいだらぼっちが登場する有名な文献には、「常陸国風土記」や「播磨国風土記」があります。
各地に残るだいだらぼっちの伝説
だいだらぼっちに由来する伝説は、全国各地に存在しています。
ここではだいだらぼっちにまつわる伝説5選をご紹介します。
だいだらぼっちが富士山を作った?
だいだらぼっちの伝説には、山を作った・運んだというものが多く、その伝説の中でも有名なのが、富士山にまつわる伝説です。
だいだらぼっちと富士山の伝説には、下記のようなものがあります。
だいだらぼっちと富士山の伝説
- 富士山を作るために甲州の土を取って土盛りした。
- 富士山を作るために近江(滋賀県)の土を掘った。
- だいだらぼっち同士の競争で、富士山と榛名富士ができた。
この他、富士山と滋賀県の間にある山は、だいだらぼっちが富士山を作るために、近江から掘った土を運ぶ際にこぼれてできたという伝説もあります。
富士山は霊峰としても有名ですが、富士山が霊峰と呼ばれるのも、だいだらぼっちが作ったとされる伝説から影響を受けているとも言われています。
だいだらぼっちと琵琶湖
だいだらぼっちと琵琶湖の伝説に関しては、だいだらぼっちが富士山を作る伝説と大きく関係しています。
だいだらぼっちと富士山の伝説のひとつに、「富士山を作るために近江(滋賀県)の土を掘った」というものがあります。
そのため、近江(滋賀県)にある琵琶湖は、だいだらぼっちが富士山を作るために掘った「近江の跡地」が大きなくぼみとなり、湖となったと言われています。
また、だいだらぼっちの伝説が縁となり、滋賀県近江八幡市と静岡県富士宮市では、昭和32年から「お水取り」と「お水返し」という2つの行事が行われています。
だいだらぼっちと茨城県
だいだらぼっちの伝説が多く残されている地域としては、茨城県が有名です。
ここでは、茨城県にあるだいだらぼっち伝説について、いくつかご紹介します。
大串貝塚
茨城県のだいだらぼっち伝説で特に有名なのが、大串の巨人伝説です。
水戸市にある大串貝塚は、縄文時代前期に形成された貝塚遺跡として有名ですが、「常陸国風土記」には、だいだらぼっちが食べた貝によって作られたという記述があります。
大串貝塚は、唯一の貝塚に関するだいだらぼっち伝説であり、歴史的にも非常に興味深いものとなっています。
筑波山
だいだらぼっちの伝説は、山に関するものが多くありますが、茨城県の筑波山にもだいだらぼっちの伝説があります。
筑波山は、西の男体山と東の女体山からなる山であり、だいだらぼっちが、富士山と筑波山の重さを比べるために、2つの山を天秤にかけた際、筑波山が地上に落ちてしまい、その衝撃で2峰になってしまったと言われています。
また、全国を駆け回っていただいだらぼっちが、遊び疲れて筑波山に腰をかけたことで、山頂が凹んでしまったという伝説もあります。
だいだらぼっちと静岡県だいらぼう山頂のくぼみ
だいだらぼっちの伝説には、「だいだらぼう」という山の伝説があります。
だいだらぼうは、静岡県に実在する標高がそれほど高い山であり、山頂には全長150mほどの凹みがあります。
この凹みが、だいだらぼっちが左足をおいたことでできたと言われています。
まただいだらぼうという名前からもわかるように、だいだらぼっちの伝説から名前が付けられた山ですので、山頂の小屋には、だいだらぼっちの伝説が書かれた看板があります。
だいだらぼっちの足跡は各地に残っている?
だいだらぼっちの有名な伝説について紹介してきましたが、紹介した以外にも、だいだらぼっちの伝説は数多くあります。
特に足跡や手の跡については、各地に伝説があり、その一部をご紹介します。
木部の赤沼 | だいだらぼっちが上州の赤城山に腰をかけて踏ん張ったときにできた足跡に水が溜まった。 |
長野県の仁科三湖 | 青木湖、中綱湖、木崎湖からなる仁科三湖は、だいだらぼっちの足跡。 |
静岡県の浜名湖 | だいだらぼっちが、手をついてできた凹みに、だいだらぼっちの涙が流れ込んでできた。 |
香川県の大束川 | だいだらぼっちの小便の際にできた川。 |
だいだらぼっちとジブリ映画
だいだらぼっちは、有名なジブリ映画「もののけ姫」にも登場します。
ジブリ映画「もののけ姫」では、生と死を司る山の神「シシガミ」の夜の姿としてだいだらぼっちが描かれています。
実際には、だいだらぼっちの伝説として、生と死を司るような話はありませんので、そこはアニメオリジナルということになりますが、だいだらぼっちを世に知らしめた作品と言えるのではないでしょうか。
だいだらぼっち まとめ
だいだらぼっちは、日本各地に伝説が残っている巨人ですが、その多くは、山や湖に関係するものになります。
有名な伝説やそれほど有名ではない伝説まで、幅広く各地に残されていますので、全国にあるだいだらぼっちの伝説を巡る旅行をしてみるのも楽しいのではないでしょうか。