仙道とは?
中国の人里離れた山奥に、食べ物は食べず、何百年も生き続けるという不思議な力を持つ老人がいたそうです。このような不思議な力を持つ老人を、いつしか仙人と呼びました。
古い文的に仙人のエピソードが残されています。仙人は「気」というエネルギーを自在に操り、まるで超能力のような不思議な力までも獲得していたそうです。
気を操る能力を獲得し、仙人になる修行法を説いたのが「仙道」であります。
「仙(セン)」の由来と意味とは
仙道や仙人の「仙(セン)」は、かつて古代インドで使われていたサンスクリット語「ऋषिः (リシ:聖典ヴェーダのマントラを得た人)」が語源です。この「ऋषिः (リシ)」の原型「ऋष् (リシ)」の意味は「辿り着く、理解する」なので、「仙」に込められた潜在的な意味は「自分の本質が分からず、別なものに幸せがあると求め続ける無知な状態の人と、その世界観」を超えて「人類すべてに共通する本質や真実を得た状態」を表します。つまり、真実や本質を得た人は、現在過去未来全ての出来事や記憶は全て終わることのない世界に含まれていて、自分自身の身体や記憶、体験もその一部に過ぎないと理解したことになります。
「仙」を極めるということは、己の存在が時間の枠も終わりもない世界の一部である真実にたどりついたとき、「永遠」、そこから転じて「仙道は不老不死になる修行」という考えに至ったのではないでしょうか。
ポイント
- 気(エネルギー)を操る修行法、それが仙道。

編集部
仙道の修行法「内丹術」
仙道でよく聞く言葉内丹術(ないたんじゅつ)とはどのような事を言うのでしょうか。内丹術を知るには外丹術(がいたんじゅつ)を知らねば始まりません。
外丹術とは
外丹術のはじまりは、食べると不老不死になる霊薬を作り出す事を目指し、必要な化学物質や薬草など気を養うために調合し実際飲んだりしました。
西洋の錬金術と似たような所が多々あり、錬金術をイメージしてもらえば分かりやすいでしょう。この行為は科学の先駆けとなります。錬金術のような事が行われ、そこから科学の道が開けていくのは世界各地で共通しており本当に興味深い事です。
最初こそ内外丹、両方の習得を進める文的が多かったのですが、現代では外丹術は科学にとって変わられ、内丹術が主流となっている為に、仙道では内丹術という言葉が代表的なイメージを持っているのですね。
内丹術
外丹術よりも後に内丹術ができました。錬金術のように薬草や化学物質を火にかけ調合するのではなく、違った方法で気を養う教えとして道教・儒家・禅僧の思想を練り合わせ開発されたものです。
内丹術は、身体を整え、心を整え、自分の呼吸に集中して気を感じるよう鍛錬します。
ポイント
仙道の歴史
仙道は中国にて発祥しました。その詳しい時期は定説がありません。元始天尊(げんしてんそん)という最高神が、伏羲(ふっき)という神様に仙道を伝えたと伝説が残っています。さらに伏羲は神農(しんのう)という神様に仙道を伝え、神農から広成子(こうせいし)という仙人に伝えました。
この古代の仙人広成子は中国最古の皇帝、黄帝(こうてい)に仙道のいろはを教えて、やがて日本でもお馴染みの老子ついで荘子などに伝えられ、その後広く知れ渡ったとされます。
ポイント
今現存する仙道各派は春秋戦国時代(紀元前770年~紀元前221年)頃から出来始めたようです。
仙道についてまとめ
中国には『万物はみな気を持っている。気が足りなくなれば病気になり、気が無くなれば死す。』といった基本的な思想があります。
仙人たちは不老不死を目指し、気を操る術を見つけ修行に明け暮れました。
仙人になる道、仙道とは目には見えない気というエネルギーを発見した古代中国人が人間は体という物質的な物だけで出来ているのでは無く、物理的法則も超えた目に見えない宇宙の英知があるという事を知る修行なのですね。
ライターメモ