
宮司さん
出雲大社の神在祭とは?
神在祭とは、出雲大社で旧暦の10月(現在の11月)に1週間にわたり行われる毎年恒例のお祭り(例祭)です。
縁結びの神様として有名な大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀る出雲大社は、日本でも最も格式の高い神社の一つであり、今日もなお恋愛をはじめさまざまな物事に関する縁結びのご利益をいただこうと日本全国から多くの参拝者が集っています。
そんな出雲大社には、毎年この時期(神在月:かみありづき)に日本全国の神様たち(八百万の神々)が出雲大社での会議(神議り:かむはかり)のために集まってくるとされていいます。
つまり、神在祭は、神議り(かみはかり)の期間中に滞在している八百万の神様たちをおもてなしすることによって、ご利益をいただくために行われるお祭りといって良いでしょう。
出雲大社の神在祭は3つのお祭りで構成される
出雲大社最大の例祭である神在祭ですが、実は大きく分けて、神迎祭、神在祭、神等去出祭という3つのパートに分かれます。
ここでは、神在祭を構成するそれぞれのお祭りについて見ていきましょう。
神迎祭
神迎祭(かみむかえさい)は本祭である神在祭の前日の夜に、出雲大社の西にある稲佐の浜(国譲りの舞台として有名)と呼ばれる海岸で行われるお祭りです。神在祭の前夜祭といっても良いでしょう。
祭りの目的は、出雲大社に向かうべく稲佐の浜に上陸した日本全国の八百万の神様たちをお迎えして、出雲大社にご案内するというものです。
そして、祭りではまず稲佐の浜で神事(神迎神事)が執り行われ、神職の方が祝詞を読み上げることで、神様たちが神職の方が手にしている神籬(ひもろぎ)と呼ばれる大きな榊に紙垂を付けたものに宿るという形で稲佐の浜に上陸します。
ちなみに、神籬に神様たちが宿った後は上から白い布をかぶせるのが習わしです。
稲佐の浜での神事が終わった後は、大国主命のお使いである竜蛇神が案内するという形で神様たちの宿った神籬を手にした神職の方や参拝者たちの一団は出雲大社に向かって進みます。
そして、出雲大社の神楽殿(かぐらでん)に着くとそこで出雲大社の宮司(出雲大社の最高位の神職)など神職の方たちがお出迎えして神事が行われるという流れです。
神在祭
出雲大社に到着した日本全国の八百万の神様は、翌日(旧暦10月11日)から1週間にわたり大国主命を囲んで会議を行います。その期間に行われるのが神在祭の本祭です。
ただし、1週間に及ぶ本祭といっても、毎日のように何かをやるわけではありません。
具体的には、旧暦10月11日(1日目)、10月15日(5日目)、17日(7日目)にそれぞれ神事が行われます。また、神在祭そのものは出雲大社の御本殿で開催されますが、神事とは別に11日に神楽殿にて竜蛇神講大祭、15日と17日に縁結大祭が行われます。
その他の日には神事が行われませんが、神議りが行われている間、境内にある十九社に神々が宿泊されていることから、神在祭の期間中に十九社に参拝すれば全国の神様たちのご利益をいただくことができるとされています。
神等去出祭(からさでさい)
神在祭の最終日(旧暦10月17日)の夕方16時には、神議りを終えた神様たちが全国のそれぞれの神社にお帰りになるため、神様たちをお見送りする神等去出祭を行います。
会場は一般の参拝に使われる拝殿の前で、お祭り中は設置された畳の上で正座をするというのが参拝客の習わしとされています。
お祭りの流れとしては、まず出雲大社の神職たちが、神様たちが宿泊している十九社をめぐって神様たちをお迎えしに行きます。十九社から出てきた神様たちは神迎祭の時と同じように神籬に宿り、宮司が神籬を手にするという形で拝殿に進み、ここで神事が行われる流れです。
神事が終わると、神職の方の1人が御本殿の門の扉を梅の小枝でたたきつつ「お立ち~」と発する動作を3回繰り返します。この動作に合わせて神様たちは出発していき、これにより1週間にわたって行われた神在祭は終了です。

編集部
次のページで今年の神在祭の日程をご紹介します。
10月のことを「神無月」と言い、「神がいない月」としていますが、それは全国の神様が10月になると出雲大社に集まり、みなさんの縁結びについて協議するからだとされています。
そして10月は旧暦の10月のことなので、現代の11月が本来の「神無月」に当たります。
縁結びが気になるあなた、神無月である11月には出雲大社に参詣してはいかがでしょう?