依代(よりしろ)とは?神や精霊が宿る対象物や空間について解説

依代(よりしろ)とは何か?その由来や意味は?神様を目に見える形で表したいという人の想いが生んだ依代の概念、巫(かんなぎ)と憑座(よりまし)の違いについてもご紹介します。
依代(よりしろ)の意味
依代(よりしろ)は神様が宿っていると考えられる媒体のことを指します。石や岩、樹木や人にいたるまで、あらゆるものが依代になりうる可能性を持っています。記紀などに描かれた人格を持つ特定の神様などはその象徴物が依代となることもあります。例えば太陽神アマテラスは鏡が象徴物です。また、依代は者だけでなく時にはその空間全体のことも指します。例えば奈良県にある三輪山などは山という空間全体に神様が宿る神域と考えられています。こういった依代の役割を果たす神域を指して神奈備(かんなび)とも言います。また祭事の時などにより身近に神様に降りてきてもらうために、臨時の依代として神輿(みこし)や山車が作られます。
ポイント
- 岩、石、樹木など
- 神奈備(依代がある空間=神域)
- 神輿、山車
依代(よりしろ)の由来
依代(よりしろ)という概念が生まれたわけ
あらゆるものに神様や精霊、魂(=マナ)が宿るという自然に対する民間信仰が依代という考えの由来となっています。こういった自然崇拝の民間信仰のことを「アニミズム」といい、人々は特に岩や樹木に強力な精霊、魂(=マナ)が宿ると考え、特に岩に精霊、魂(=マナ)が宿ったものは「磐座(いわくら)」と呼ばれて巨石信仰の源流となっています。このような観念をもとに、神様が私たち人間の前に降りて頂くためにモノに宿っているという依代の概念が生まれました。
現代の依代
今のように神社が神道の主流になる前は上記でご紹介したようなアニミズムの考えが主でした。この時の神道を古神道といい、それと比較して今の神道は神社神道と呼ばれます。自然の中に神様がいた古神道から、依代の対象は祠(ほこら)や神社になっていきました。家の中に神棚がある人もいるかと思います。神社は古神道の時代に依代があった場所に建てられたものが多く、依代は神社に集約されていきました。神社でよく見かける榊(さかき)の枝に紙垂(しで)がつけられたものは神社神道の依代の代表です。現在でもふとした山や道端に注連縄がかけられた岩や樹木などがあるのは古神道の依代の名残です。
ポイント
- …あらゆるものに神は宿る(依代の概念)⇩ ⇩ ⇩神社神道=古神道の依代を神社に

編集部
依代(よりしろ)となる人を表す「巫(かんなぎ)」
魂や神様を身に降ろし、目に見えないものの言葉や意志を伝える人のことを巫(かんなぎ)といいます。神様の依代となることのできる人間です。そうやって神託をしていた人が神社神道の中で職業の一つとなり、現在の神職や巫女になりました。祈祷師、陰陽師などはその先駆けとされています。また、神降ろしの経験者が、神や魂を自らにではなく子供や人形に降ろしたときは、依代ではなく憑座(よりしま)と区別して呼びます。
ポイント
- ⇩ ⇩ ⇩神社に勤める神職や巫女

編集部
依代(よりしろ)についてまとめ
本来は自然界の全てが依代(よりしろ)でした。全てのものに魂があり、神様の器となりうる存在でした。それが神社という目に見える建築物により定まった場所に集約されます。しかし今でも自然の中にいる神様は失われていません。和歌山県熊野大社の那智の滝や奈良県の三輪山など古神道の時代から信仰されてきた依代は今でも各地に残っています。周囲の自然のあらゆるものに神様が宿っているとはなんと心強いことでしょう。
依代の変遷…依代の対象は古神道から神社神道へと移り変わる中であり方が変わってきた
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