遷宮(せんぐう)とは?神様を新しい御社殿へ移す行事の意味を解説

遷宮(せんぐう)とは何か。何故行われるのか。遷宮の意味からその種類、式年遷宮を行う代表的な神社までご紹介します。数十年に一度の機会。皆さんも遷宮を知って貴重な機会に立ち会ってみませんか。
遷宮(せんぐう)の意味
遷宮とは?
遷宮(せんぐう)とは神の依代(よりしろ)である神社を立て替え修理する際に新しい神殿を造って御神体を移す一連の儀式のことを表します。祭事により神様に仮の依代に移ってもらい、さらに新しい社殿へとお運びし鎮座していただきます。分かりやすくいうと神様の住居のお引越し・リフォームの儀式です。
遷宮を行う意味とは?
様々な説がありますが、伝統的な神社建築を後世に残すためというのが一般的な理由と考えられています。柱である白木を土に埋めた様式の多い伝統的な神社建築は、柱の消耗が早いため定期的に建て替えが必要なこと。またこの定期的な建て替えによって古くからの建築技術を後世に受け継いでいくことが目的と考えられます。さらに神様が常に清らかでいるために汚れに通ずる老朽化を避け、常に神様の魂の浄化や再生を行うといった意味もあります。
遷宮の種類
遷宮とはおおよその場合が定まった年数で定期的に行う式年遷宮(しきねんせんぐう)を指します。例えば式年遷宮の代表格・伊勢神宮は20年周期です。しかし、中には国宝などの指定により新しい社殿を立てることができず式年遷宮をしなくなった神社もあります。定められた年数に合わせて予定通り行われる定期的な遷宮を正遷宮といい、地震や津波・台風や火事などの思わぬ出来事により社殿を立て替えなければならなくなった場合の想定外の遷宮を仮殿遷宮といいます。また原因は様々ですが定められた年数ではなく予定外に新しい社殿を造営し、正遷宮の際に行うのと同様儀式で遷宮を行うことを臨時遷宮といいます。
ポイント
- 正遷宮(計画通りの遷宮)
- 仮殿遷宮(天災人災などによる計画外の遷宮)
- 臨時遷宮(計画外に新しい社殿を造営し正遷宮と同様の手続きを行う)
式年遷宮を行う神社の例
伊勢神宮
式年遷宮といえばおおよそ伊勢神宮のことを指すと言われるように、伝統的な遷宮を未だに守り続けているのが日本の皇祖神・天照大神を祀る三重県伊勢神宮です。伊勢神宮は天照大神が鎮まっていらっしゃる内宮とその食物を司る外宮があり、遷宮を含めた全ての祭事は外宮から先に行われます。境内にある社殿の隣は式年遷宮を行うための次の社殿造営地として空き地になっていて、20年毎にこの空き地を行ったり来たりと交替して遷宮を行います。20年に一度の式年遷宮の時期は全国からたくさんの参拝客が訪れる貴重な機会です。
上賀茂神社
京都府の上賀茂神社(別名・賀茂別雷神社)も由緒正しい式年遷宮を行う代表的な神社です。数多く神社がある京都でも最も古い歴史を持つと言われ、奈良時代以前から京都を見守り、21年毎の遷宮で社殿を今に受け継いできました。
上記2社以外にも式年遷宮の伝統が残る神社は多くあります。また島根県の出雲大社も60年から70年毎に遷宮を行いますが、こちらは必ずしも定期的に行われる訳ではないため式年遷宮には含まれないのではという意見もあります。
ポイント
- 伊勢神宮(20年に一度)
- 上賀茂神社(21年に一度)
- 出雲大社(60年〜70年に一度)

編集部
遷宮についてまとめ
式年遷宮の伝統が残っていた神社でも国宝に指定されるといった様々な要因で新しい社殿を造営する遷宮を行えなくなった神社もあります。賀茂御祖神社や香取神宮、宇佐神宮などです。遷宮は数十年に一度しか立ち会えない貴重な機会。もし遷宮の時期に出会えたら遷宮前、遷宮後の社殿を拝んでおきたいものですね。
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