神使(しんし)とは?神道で神の使いとされる動物たちについて解説

神社の前にある様々な動物の石像。これは神使(しんし)と呼ばれる神様の使いとなる動物を象ったものです。神道の神様には特定の動物が神使とされている場合が多く見られ、その動物たちは哺乳類から爬虫類まで、多種多様、その動物が神使となった意味を知るとより神様を身近に感じられるでしょう。ここでは神使とは何か?について解説します。
神使(しんし)の意味
神道における神使(しんし)とは、様々な動物の姿を取る神様の使い、眷属(けんぞく:この場合従者、配下、家来)の事です。
神社・祭神によって特定の動物が神使とされており、哺乳類、鳥類から爬虫類や魚類まで多種多様な動物が見られます。
日本神話や古い寓話などで特定の動物が神意を伝えるという説話を基にして、あるいは神社の縁起に由来する事柄などから、次第に神社や祭神毎に神使が固定化されたものと考えられています。
また、稲荷神社の狐は、稲を象徴する農耕神である稲荷神とその神使とされた狐が次第に同じものとされて、それ自体が神様として捉えられるようになりました。この様に当初は神の使いであったものが、次第に神様自体として祀られる様になった事例も見られます。
ポイント
- 神道における神使(しんし)とは神様の使いとされる動物
- 神使には、哺乳類、鳥類、爬虫類、魚類まで様々な動物が見られる
- 稲荷神社の狐の様に、神使が次第に神様として祀られる様になったケースもある
神使とされる動物
神使として広く知られている代表的なものとして、日吉大社の「猿」、稲荷神社の「狐」、天満宮の「牛」などが挙げられます。有名な神社の神使としては、伊勢神宮の「鶏」、春日大社の「鹿」、八幡宮の「鳩」などがあります。そのほか架空の動物として熊野三山の「八咫烏(やたがらす:三本足のカラス)」など。また、仏教系の神様にも使いとされる動物が見られます。例えば、毘沙門天の使いは「ムカデ」、大黒天の使いは「鼠」とされています。
ポイント
- 代表的な神使として日吉大社の「猿」、稲荷神社の「狐」、天満宮の「牛」など
- 有名な神社の神使として春日大社の「鹿」、伊勢神宮の「鶏」、八幡宮の「鳩」など
- 仏教系の神様にも使いとされる動物がいる。毘沙門天の「ムカデ」大黒天の「鼠」など

編集部
神使像の画像例
狐
ここでは、神使像の画像をいくつか挙げていきたいと思います。多種多様なものがあり、どことなく可愛らしい造形のものが多く親しみを感じます。
狐は穀物や食べ物の神様、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)のお使いとされています。
猿
日枝神社は猿を神使とする日吉大社から勧請(かんじょう:神様の魂を分ける事)を受けた分霊社です。
牛
天満宮では祭神である藤原道真公と関わりの深い牛が神使とされています。
猫
珍しい猫の神使。養蚕の蚕をネズミから守ったとされています。
神使についてまとめ
神道では、神様の使いとして多種多様な動物が神使とされています。神話でその動物にまつわる説話からきているもの、建立の年月日などその神社の縁起にまつわるものなどその由来は様々ですが、ほとんどの場合当時の日本人の生活に身近に関わっていた動物が神使とされています。
神社を訪れた際は、神使とされている動物についてやその由来について少し気にしてみると、同時にその神様の歴史についても触れられる事が多く、より身近に感じることが出来るのでは無いでしょうか?
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編集部

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