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社家(しゃけ)とは、特定の神社へ奉仕する役目を世襲で継承してきた家を表します。明治維新の神仏分離令により一時廃絶しますが、戦後の政教分離の布告を契機に復活しています。この記事では社家の意味や、歴史的な区分、代表的な社家の例などを解説しています。
社家とは特定の神社における社務や祭祀を執り行う家を指します。古代においては、祖先を同一にする地域的な集団「氏」の主導的な立場である「氏上(うじのかみ)」が一族を率いて氏神(祖先神・産土神)を祀り、また、地域の代表者が人々を率いて土着の神の祭祀を行って来たとされています。
しかし、律令制の崩壊などで社会的な構造が変化するに伴い、また、神社制度の発展により祭祀の形式がより厳粛に行われる様になり、長期的な潔斎や恒常的な社務が必要となるなどの複合的な理由から、次第に専従して社務を取り仕切り世襲によって神職を継承する社家が生まれたと考えられます。
ポイント
編集部
一言で社家と言っても歴史的に見るといくつかの区分が可能です。
1871年(明治四年)政府により、社家による神官世襲の制度は一時廃止されています。この時一時廃止された、古代の終わりから明治維新までの間存在していた社家を「旧・社家」と呼びます。第二次大戦後の政教分離によって旧社家であった家も社家として多く復活しています。
明治維新後の国家神道の制度下において新たに神職になった者(神仏分離令で失職した僧侶や旧武士や平民など様々な人々が新たに参入した)は、戦後の政教分離後に「維新後新社家」と定義されました。
さらに、戦後に旧・皇族や旧・華族、その他一般の人々が國學院大学などで神職資格を得て神職についた人々の子孫は「戦後新社家」と区分されます。
加えて、「新・分社家」という区分があり、こちらは神職家系の中で長男でないなどの理由で家督継承出来なかった人達が他の神社の後継者になるなどしてその後新たな社家として継承している場合を指しています。
旧・社家 | 明治維新により、廃止される以前に社家だった家系 |
維新後新社家 | 明治維新後の国家神道制度下において新たに神職に参入したものの子孫 |
戦後新社家 | 戦後の政教分離後、國學院などの養成機関を経て神職についた人々の子孫 |
新・分社家 | 神職家系の中で、家督継承出来なかった者が、他の神社の後継となるなどして継承した場合 |
ポイント
続いて、代表的な社家をいくつか紹介します。
伊勢神宮で神職を代々継承した社家は内宮、外宮合わせておよそ60家に及びました。祭主を務めた大中臣氏の子孫「藤波家」同じく大中臣氏の流れをくむ大宮司の「河辺氏」中臣氏の同族とされ、内宮祀職を務めた「荒木田氏」などがありました。
熱田神宮の大宮司を代々務めたのは「千秋家」で、尾張守護代だった織田家が戦国大名化してからは、その家臣としても活躍しています。古代末期から中世における社家は豪族からの流れを汲みほぼ武士団という側面を持っていました。
猿田彦神社では、祭神である猿田彦神の子孫とされる「宇治土公氏」が代々祖先神として屋敷内で祀っていました(屋敷神)これが現在の猿田彦神社の前身です。この様に代々祭神の子孫が社家として継承していたケースも多々見られます。
ポイント
編集部
社家とは特定の神社を代々継承する家の事です。明治時代の神仏分離令以前の社家は、有力豪族の末裔や祭神そのものの末裔とされる家が中心でした。現代では明治維新後や戦後に、新たに神職に参入した家も含めて「社家」と呼称されます。
ライターメモ