偶像崇拝とは?キリスト教・イスラム教で禁止される行為の意味とその理由を解説

様々に受け取られる偶像崇拝。神像は信仰対象?それとも媒介?キリスト教やイスラム教で禁止される行為とその理由についてご紹介。また日本で信仰の篤い仏教の偶像崇拝に対する立場も解説します。
偶像崇拝とは?偶像を信仰する行為
偶像とは?
神様や仏様の姿を現した像のことですが、それが偶像にあたるかの定義は像そのものが信仰対象にされているかどうかです。その像に神様や仏様が宿っているとされると、その像は神様そのものであり神聖なものとなります。これが偶像です。
偶像と偶像崇拝
こういった偶像を直接信仰する祭祀形態が偶像崇拝です。偶像崇拝の対象は幅広く、例えばキリスト教プロテスタントにとっては十字架もイエスを象徴する一種の偶像と捉えられ十字架信仰も偶像崇拝にあたるとされています。
ポイント
- ⬇︎ 直接信仰する行為偶像崇拝
キリスト教やイスラム教で禁止される偶像崇拝
偶像のもう一つの意味として本物ではない、本来あるべき真実を表していない像といった意味もあります。このことから嘘や偽りを含む可能性がある偶像を信仰することに嫌悪を感じる人もいました。
偶像崇拝は旧約聖書で禁忌とされた
ユダヤ教の聖典でありキリスト教やイスラム教でも重視される旧約聖書ははっきりと偶像崇拝禁止を記しています。
聖なるものは目に見えないもの、だから目に見える姿で神様を崇拝してはいけないという教えです。かつてイスラエルの民が偶像崇拝に関わった時は死刑とされました。古くユダ王国の時代に改革を行ったヨシヤ王は聖書の意に沿わない信仰に流れていくユダ王国を一新するために偶像とされるものを壊しつくしました。旧約聖書を重んじる人にとって偶像崇拝は悪だったのです。
ポイント
- ユダヤ教
- キリスト教
- イスラム教

編集部
仏教における偶像崇拝
仏教では仏様の姿を表した仏像、つまり偶像と呼べるものが製作されます。では仏教の教えでは偶像崇拝は禁止されていないのかというと、実は仏教では偶像崇拝について明確に触れていません。仏教で重んじられる教えは、自分や法を拠り所にして真理に至るという教えです。そのため仏像を崇めることは自分を拠り所にという教えに反しているという意見もあれば、仏教はあくまで悟りに至る信仰の媒介なのであって仏像自体を偶像として崇めているわけではないという意見もあります。教義や信仰の在り方の解釈の違いと言えます。
ポイント
- 偶像崇拝反対派
- 偶像崇拝寛容派
偶像崇拝についてまとめ
偶像崇拝を禁止するキリスト教・イスラム教・ユダヤ教。一切彫刻も絵画も置かない十字架のみの教会もある一方、神聖なものとして聖母や天使、キリストを描いた絵画を飾る教会もあります。こういった神聖な絵画は信仰対象ではなく、あくまで信仰のための媒介として現在のところ認知されています。キリスト教は宗派によっても違いが現れます。教会を訪れたら何が飾られているのかに注目してみると楽しみが増えるかもしれません。
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編集部

偶像崇拝―その禁止のメカニズム (叢書・ウニベルシタス 858)

偶像崇拝の心理

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