エンバーミングとは?遺体を美しく保てる技術?問題点や費用を解説

エンバーミングの意味とは遺体の長期保存を可能にする処置のことです。その歴史は古代エジプトにまでさかのぼります。エンバーミングの処置中は遺体に触れることができない、費用負担が高いなど問題点もありますが、最近日本でも需要があり、15万~25万円で処置が可能です。エンバーミングを詳しくご紹介します。
エンバーミングの意味
日本の葬儀では故人の遺体は最終的には火葬し、遺骨を四十九日法要の際などに納骨するのが一般的です。しかし、欧米圏で土葬が主流の地域の場合、遺体にエンバーミングという処置を施して埋葬しています。
エンバーミングとは、遺体が腐敗することなく長期的に生前の姿をとどめることができるように行われる特殊な処置のことです。具体的には特殊な薬品などを使って消毒、腐敗の抑止(血液と体液を吸引、排出、内臓に残る未消化物除去、防腐剤注入)、けがなどによって傷ついた部分を修復するという方法がとられます。
エンバーミングは生前の姿を極力とどめておくため、故人の不幸に対する遺族の悲しみを和らげる効果があるという意味でメリットのある行為です。
ポイント
- エンバーミングは遺体の長期保存を可能にする処理のこと
- 特殊な薬品を使った消毒、腐敗の抑止、修復を施します
エンバーミングの歴史
エンバーミングの歴史は古く、古代エジプト文明のミイラ形成技術にまでさかのぼります。古代エジプトでは亡くなった人は来世で復活し永遠に生き続けるという信仰があったため、復活の時に備えて臓器を専用の壺に保管しつつ、体内に薬物を入れることで遺体そのものが長期にわたって保存がきくように処置していました。
その後、歴史の中でエンバーミングが見られない時代が続きますが、17世紀以降にホルマリン漬けによるエンバーミング技術の開発がなされたことや19世紀半ばにアメリカで起きた南北戦争の際に、戦死した兵士の遺体を家族のもとに返す際に保存処置が用いられ、注目されるようになります。さらに、1960年代から70年代のベトナム戦争においても戦死したアメリカ軍兵士の遺体を故国に返すためエンバーミングが施されました。
ちなみに最近では日本でも徐々にエンバーミングが行われるようになってきています。
ポイント
- エンバーミングの起源は古代エジプトまでさかのぼります
- アメリカの南北戦争やベトナム戦争でエンバーミングの需要が高まりました

編集部
エンバーミングの問題点
遺体を長期保存させられるエンバーミングですが、問題点もあります。
まず、エンバーミングを行うには処置が施せる専用の施設で専門家による処置が必要です。そのためエンバーミング中は、ご遺族が故人の遺体に触れることができないために、遺族が悲しい思いをする場合もあります。
このほかにも、費用の面で遺族の自己負担分が高くなる場合もあります。
エンバーミングの問題点
日本におけるエンバーミングの費用
日本でも近年になってエンバーミングを実施する件数が増えてきました。費用の相場は15万~25万円が一般的です。もちろん、遺体の状況によって金額は変化します。
内訳としては、遺体の搬送費や処置費用、損壊部分の修復費用、着付けのための費用などです。ただし、業者により搬送費と修復費用が別途負担となる場合もあるため、事前の確認は欠かせません。
ポイント
- エンバーミングの費用は15万~25万円
- 費用の内訳は運搬費、処置費用、修復費用、着付け費用などです
エンバーミングについてまとめ
今回はエンバーミングについて見てきました。エンバーミングは遺体の長期保存を可能にする薬品などを使った処置のことです。その歴史は古代エジプトにまでさかのぼり、近代以降欧米で技術が発達しました。
エンバーミングにより遺族の悲しみを和らげることができますが、処置中、遺族が遺体に触れることができなかったり、場合により遺族の費用負担が高くなる可能性があったりする問題点を理解しておきましょう。なお、費用は15万~25万円が一般的です。
日本でも処置を施す件数が増えつつあるエンバーミングは、故人との有意義な別れの方法の1つといえます。よろしければ、検討してみてはいかがでしょうか。

編集部