辞世の句の意味とは?有名・かっこいい辞世の句を一覧で紹介!

人が最期を迎えようとするときに残す辞世の句。なぜ辞世の句が読まれるようになったのか、その由来や意味を考えていきます。歴史に名高い人物たちの、有名な、心に響くかっこいい辞世の句も一覧でご紹介していきます。
2019年03月23日
辞世の句の意味
辞世の句とは、人が最期を迎えるときに詠む漢詩、和歌などのことをいいます。詩的な短い言葉の中にそれぞれの人生を表し、心情を歌い上げました。絶命の詞(し)、辞世の頌(しょう)ともいわれ、死を意識せずに残した最後の詩歌も広い意味で辞世の句とされています。
そもそも辞世とは、死ぬこと、または死期を悟りこの世との別れを告げることです。そこから死を前にして自分の心に抱く思いを、漢詩や和歌などの短い詩歌の形にしたものを辞世の句と呼ぶようになりました。
ポイント
辞世の句の由来
辞世の句を詠む行為は、東アジア独特のものであるとされています。由来ははっきりとしていませんが、日本に禅が広まった鎌倉時代以降行われるようになったとされ、一説には、禅宗の僧が偈(げ)と呼ばれる仏の教えや功徳をたたえ、漢詩、和歌、俳句などにして死の前に残していたことに影響を受け始まったといわれます。その後、文人の死の間際や武人が切腹の前に辞世の句を詠むことが慣習となっていきました。
ポイント
- 日本で辞世の句が詠まれるようになったのは鎌倉時代以降とされる。
- 禅宗の僧が偈を残してしていたことに影響を受け、慣習となったともいわれる。
有名な辞世の句一覧
ここからは、歴史上の人物が残した有名な辞世の句をご紹介します。
西行 | 願はくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ |
できることならば満開の桜の下で死にたいものだ。(釈迦入滅の)如月の満月の頃に。 | |
上杉謙信 | 四十九年 一睡夢 一期栄華 一盃酒 |
四十九年の生涯は、一眠りの夢のようにはかないもの。一時の栄華も一杯の酒と同じようなものだ。 | |
お市の方 | さらぬだに 打ぬる程も 夏の夜の 夢路をさそふ 郭公かな |
そうでなくても寝る頃合いなのに、これはまるで夏の夜に別れを誘うように鳴くほととぎすのようですね。 | |
柴田勝家 | 夏の夜の 夢路はかなき あとの名を 雲井にあげよ 山ほととぎす |
(お市の方への返歌) | 夏の夜のようにはかない人生だった。ほととぎすよ、せめてわが名を空高くあげてくれ。 |
豊臣秀吉 | 露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことも 夢のまた夢 |
露のようにこの世に生まれ、そして露のように消えていくはかないこの身である。栄華の日々も、夢の中で夢を見ているようにはかないものだった。 | |
石川五右衛門 | 石川や 浜の真砂は 尽きるとも 世に盗人の 種は尽きまじ |
石川の浜にある細かな砂が尽きることがあっても、世の中から盗人がいなくなることはないだろう。 | |
細川ガラシャ | ちりぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ |
散りどきを心得ているからこそ、花も人も美しい。 | |
清水宗治 | 浮世をば 今こそ渡れ 武士(もののふ)の 名を高松の 苔に残して |
浮世を離れあの世へと旅立っていくのだ。武士としての名を高い松の色あせない苔のように長く残して。 |
ポイント
- 戦国時代には特に優れた辞世の句が詠まれた
- 当時の日本人の死生観が反映されている

編集部
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辞世の句についてまとめ
今回は、どれも素直に「かっこいい!」と思えるものばかりをご紹介しました。あなたの心に響く辞世の句はあったでしょうか?辞世の句とは、人生を凝縮したその人の生きざまを表現していると言えるでしょう。最期のときに晴ればれと語れる人生でありたいものですね。
ライターメモ
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