王子神(おうじがみ)とは?神仏習合によって生まれた言葉の意味を解説

神仏習合から生まれた王子神とは?その意味や王子信仰について。また王子信仰で代表的な熊野権現(ごんげん)についてもご紹介します。現在の地名にも残る王子信仰の軌跡を辿りましょう。
王子神(おうじがみ)の意味
王子神の起源
古くからある日本人の信仰の一つに神社が主に祀る主神(しゅしん)だけでなく、その子供とされる神様も合わせて祀る信仰があります。主神は本宮(もとみや)と呼ばれ、主神の子は若宮(わかみや)または御子神(みこがみ)と呼びます。今でも一つの神社に主神・主神の妻である女神・子供を一緒に祀っている神社があります。
王子神とは?
大陸から仏教の文化が入ってくると日本伝統の古神道は仏教信仰と混ざり合い、外来の神と日本の神を同一神としたり一緒に祀ったりする神仏習合と呼ばれる現象が起こりました。その中で若宮(御子神)も仏様の後ろに控える子供の姿をした「童子」という仏教神と同一視されるようになり王子神という神道と仏教の混ざり合った新たな神格が生まれました。
ポイント
- 子神=若宮または御子神⬇︎ 仏教の流入童子と同一視される王子神と名付けられる
王子神を信仰する王子信仰
王子信仰は平安時代末から特に盛んになりました。京都府の八坂神社を代表とした祇園社では主神・牛頭天王(ごずてんのう)の眷属神(けんぞくしん)として、滋賀県の日吉大社では比叡山信仰から生まれた主神・山王権現(さんのうごんげん)の眷属神として篤く信仰されました。こういった眷属神として生まれた八柱の王子神を祀った神様を八王子権現(はちおうじごんげん)と呼びます。
熊野権現における王子信仰
特に王子神が一緒に祀られることが多かったのが熊野信仰の主神・熊野権現です。熊野信仰は第1殿から数えて12柱の神様がいますが、そのうちの第4殿から第8殿に祀られている5柱を合わせた五所王子という神々が篤く信仰されました。熊野三山に祀られる熊野権現はそれぞれスサノオ・イザナギ・イザナミと同一視されることから、これらの神の王子神である五所王子のなかでも一番の神格を持つ若一王子(にゃくいちおうじ)は天照大神と同一視されるようになり尊崇を集めました。
ポイント
- うち5柱を五所王子と呼ぶ⬇︎ 5柱のうち第1の神格を持つ神様若一王子(天照大神と同一視)

編集部
王子神についてまとめ
偉大な神の子神・王子神の信仰が全国に広まり今でも信仰の名残は地名に残っています。例えば東京都の八王子市は八王子権現を祀っていた山に城が立ち、その城が八王子城と呼ばれるようになったことからこの地名となりました。また同じく東京都の王子市は若一王子を祀った神社があったことから王子信仰の地として地名が残っています。他にも全国に数ある王子信仰を由来とした地名。そんな地名を探しながらパワースポット巡りをするのも楽しいですよ。

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