顕教とは?密教の反対の教えと言われる顕教の意味と密教との違いを解説

顕教とは空海が密教との違いを明らかにするために造った言葉です。顕教と密教では成仏の意味や考え方、修行の方法などが異なります。この記事では、日本仏教の大部分を占めている顕教について詳しく解説いたします。
顕教とは?空海によって造られた言葉
顕教(けんぎょう)とは、弘法大師空海が造った言葉で、密教との違いを明らかにするために用いられたものです。
弘法大師は、密教における成仏の意味や成仏までの修行方法などを顕教と区別することで、密教の優れている点を明確にしました。
顕教とはお釈迦様が悟りを開き、輪廻転生からの解脱を目的にわかりやすい言葉で多くの人に説いた教えですが、密教とは大日如来の教えである宇宙の根源や真理といった知識を厳しい修行の中で獲得するものです。
ポイント
- 顕教とは、密教の優れている点を区別すために弘法大師が造った言葉です。
- 顕教と密教では、成仏の意味や修行方法が違っています。
- 顕教はお釈迦様、密教は大日如来を教主にしています。
顕教の意味と特徴
密教以外のすべての大乗仏教(だいじょうぶっきょう)を区別して顕教とします。例えば、浄土真宗や浄土宗、禅宗といった各宗派は顕教に属します。
顕教では「魂は輪廻転生(何度でも生まれ変わりを繰り返す)の中で六道(天道・人間道・修羅道・畜生道・餓鬼道・地獄道)生まれ変わり、長い年月をかけて転生の苦しみから解脱する」事を目的としています。
また顕教では、人にわかりやすく説かれたお釈迦様の教えを学び、真理や知的認識を修得して智慧が完成された時を成仏したと捉えています。
ポイント
- 顕教では、輪廻転生を繰り返しながら魂の修行を行い、最終的に転生の苦しみから解脱する事ができるとしています。
- 顕教では、成仏できるのは真理や知的な思考による智慧が完成された時としています。
顕教と密教の違い
顕教と密教の違いは「教主」、「成仏への考え方」「成仏までの道程」に分けて見てみましょう。
顕教 |
密教 |
|
教主 |
お釈迦様 (ブッダ) |
大日如来 |
成仏の考え方 |
魂が繰り返し生まれ変わる度に真理や智慧を学び、獲得した時に成仏することです。 |
生きながら智慧を実社会の中で実行することで成仏することです。 |
成仏までの道程 |
解脱を目的に輪廻転生(六道)を繰り返します。 |
生きながら実社会の中で成仏可能です。(①法身説法②果分可説③即身成仏) |
ポイント
- 顕教の教えは多くは公にされていますが、密教においては教えや作法が秘密にされています。
- 顕教では真理や智慧を理解した時を、密教では実社会の中で智慧を実行することを成仏と考えます。

編集部
顕教についてまとめ
顕教の世界観では、魂は善行を積む修行のために現世に生まれ、真理や智慧を獲得して成仏となります。そう考えると、この世には修行中の魂を持った「得がある人」「そうではない人」、色々な人格が存在することも理解できますね。仏教の教えを参考に、生き方を学び、自分の手で幸せをつかみましょう。

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