御幣の意味
「御幣(ごへい)」とは、紙や布を細長く切って、串の先に付けた神祭具のことです。「おんべ、みてぐら」とも呼ばれます。
また、神に奉献する物の総称を「幣帛(へいはく)」と言います。布、衣服、武具、神酒(みき)、神饌(しんせん)など衣食関係の品々のことですが、この中に含まれる「布帛(ふはく)」を特に取り上げたものが御幣とも言えます。布帛を捧げる際、直接手が触れることのないように、竹または木の串に挟んで供えたことが原形とされています。布の献上は、人の衣替えの意識を神にも向けたためと考えられ、絹や木綿、麻、糸など多様にわたっていたようです。
ポイント
- 御幣とは、紙や布を細長く切って、串の先に付けた神祭具のこと。
- 神に布を献上する際、竹や木の串に挟んで供えたことが原形とされている。
- 御幣の読み方は「ごへい」

編集部
御幣の作り方
細長く切った紙や布の部分を「紙垂(しで)」と言います。もとは布で作られていましたが、現代では白い和紙を使うことがほとんどです。
紙垂の様式には、白川家、吉田家、その他の諸流があるようですが、ここでは一番簡単な作り方を紹介していきます。
紙垂の作り方
- 【材料】・・・奉書紙、半紙、障子紙など(文具店や100円ショップなどで購入できます) 竹または木の棒、細い麻ひも(こより)、新品のハサミ(カッター) *画像では、家庭にある折り紙、菜箸、太めのひもを使用しています。【作り方の手順】特に難しい工程はありませんので、御幣とはどんなものか興味のある方は、ぜひ作ってみて下さいね。画像1画像2画像3
ポイント
- 紙垂の様式には、白川家、吉田家、その他の諸流があります。
- ハサミなどの道具類は、日常使っているものとは別のものを使用したほうが良いです。
動画で御幣の作り方を見よう
御幣の種類
もとは神に布を献上するための神祭具であった「御幣」ですが、現代では、さまざまな意味を持つようになりました。
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お供えものとして
布に限らず、供物全体を表すものに変化していきました。 -
清浄の印として
紙垂の数が多くなったものを「祓幣(はらいぬさ)」と言いますが、罪や身のけがれなどをとり除くものとして使われています。「祓」は「払う」ではなく「吸着させる」という考え方になります。また、しめ縄などに付けられた紙垂は、その空間や物が清浄であることの意味合いが強くなります。あるいは、神社の入り口などに付けられている場合は、ここから先が神聖な場所であることを意味しています。 -
神様を表すものとして
白い紙には、清めの意味があり、神を招き寄せる力があると考えられてきました。また、和紙は太陽の恩恵で生育する自然界の草木を原料として作られているので、神の力が内在しているとも考えられてきました。「紙(かみ)が上(かみ)に通じ神(かみ)に通ずる」と表現するなど、神そのものの入り口ととらえられてきたのです。
ポイント
- かつて御幣は布を献上する神祭具でした。
- 現代の御幣は、お供え物のほか、清浄の印、神様を表す意味を持つようになりました。
御幣の飾り方・場所
神社では、「神殿の奥には邪悪なもののけが集まる」とされていることから、それらを祓いのけ邪気をはね飛ばすように御幣は清浄の印として奉(たてまつ)られています。
一般家庭では、神棚の上に置きます。神棚がない場合は、一日で一番長く人がいる部屋の高い位置に置くのが良いとされています。専用の深い瓶状のものに立てておきます。
また、特定の場所に置くものもあります。
- 厠神・・・トイレの神様。昔のトイレは、水が流れる川へ排泄物を流す仕組みになっていました。川は生命の源である海へ続くことから、トイレは神聖な場所と考えられるようになりました。
- 荒神・・・台所(火を扱うところ)の神様。火は、生命力となる食事を作る際に欠かせないものです。しかし、火の神は浄化にも災厄にもつながる難しい神でもあるので、鎮め敬うことが必要です。
いずれにしても、いつもきれいな御幣を置いておくことが大切です。新年を迎える前などには新しいものと交換をしておきましょう。
ポイント

編集部
御幣の入手方法
- 神社で購入する。
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神具店で購入する。
直接来店して、大きさなどの確認や、お祀りの仕方、飾り方などについてもアドバイスを受けることができます。 - インターネット販売を利用する。
御幣についてまとめ
御幣は、細長く切った紙や布を挟んだ神祭具のことですが、それだけではなく、お清めの意味や神様を表すようにもなりました。神様は見ることができませんが、御幣を通じて感じることはできます。一日一回でも神様に手を合わせる時間を持つようにすると、清々しい気持ちになれるでしょう。
御幣を置くことで、いつもの空間を清め、神様をより身近に感じてみてはいかがでしょうか。
ライターメモ
- ライターメモ 紙垂について

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御幣とは?