摂社とは
神社に訪れると境内に小さな神社や祠をみかけることがあります。主祭神を祀る神社を本社とし、このような本社に付属する小さな社を摂社(せっしゃ)と言います。ちなみに近年の日本ブームで神社を訪れる海外の方もいらっしゃいますが、英語でも摂社のことは「Sessha(セッシャ)」と言うようです。
ポイント
- →本社に縁のある神様が祀られている
摂社と末社の違い
摂社の条件
摂社によく似た小さな神社として、摂社の他に末社(まっしゃ)があります。現在では特に明確に定められた違いはありませんが、現在でも二つの呼び方が残っているのは明治維新の際に神社の分類が整理されたからです。その時に定められた旧社格制度の官国弊社にあたる神社では摂社を次のように規定しています。
- 本社に祀られた主祭神の荒魂または后神、御子神
- 地主神や本社創建の前にその場所に祀られていた神
- 神話や伝承などで主祭神と関係がある特別な神
荒魂とは神様が持っている荒ぶる側面を神格化したもので、神様には和魂と荒魂の二つの性格があるとされています。このほか血縁関係にある神様や社殿を構える土地を守っていた神様、記紀などの記述で主祭神と縁のある神様が摂社とされていました。これらの条件に当てはまらないものが末社と呼ばれ、神社の位としては摂社の方が上位とされました。しかしこの社格制度も第二次世界大戦終戦の際に廃止されて以来、現在は摂社と末社を区分する明確な規定はなくなりました。

編集部
摂社と末社が区分された官国弊社とは?
明治維新の際に定められた社格制度により、由緒ある神社は国家から奉献される官社という位に位置付けられました。官社は国の祭祀を司る国家機関が運営する官弊社と国から派遣された地方官が運営する国弊社に分けられました。この官弊社と国弊社をまとめて官国弊社と言います。
ポイント
- 明治維新…摂社と末社の区別が定められる
- 第二次世界大戦終戦…社格制度廃止により区別がなくなる
境内と境外にある摂社
摂社は境内にあるものだけではなく、境内の外や周辺地域にある場合もあります。本社から独立して別の土地を持つ摂社を境外社、もしくは境外摂社と言います。境内にある場合は境内社もしくは境内摂社です。境外社となる例として、鎮座地を移す遷宮などで本来の宮があった場所に社を建てたり、境内社であったものが境内の縮小などによって境外に移ってしまった場合など様々です。いずれも本社に縁のある神様たちが祀られています。
ポイント
- 境内にある場合…境内社、境内摂社
- 境内外にある場合…境外社、境外摂社
摂社についてまとめ
昔は1つの地域にたくさんあった神社ですが、明治時代に地域の小さな神社を代表的な大きな神社の境内にまとめてしまう神社合祀という改革がありました。以来、地域の大きな神社には摂社や末社が多く境内に存在するようになりました。摂社のように主祭神に縁の深い神様だけではなく、地域で大切にされていた山神などの自然を司る神様や生活に密着した農耕神なども境内に祀られるようになりました。神社の境内の摂社や末社にはそういった地域の信仰の歴史が垣間見えます。境内の小さな神社にも敬意を持って参拝すると、よりご加護が受けられるでしょう。
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編集部
太宰府天満宮の摂社