鏡開きとは?その意味について
鏡開きとは、お正月に飾っていた鏡餅を小分けにし、新しい年一年間の家族全員の無病息災を願う行事です。
年の初めには、幸福をもたらしてくれる神様が門松を目指して各家庭に訪れ、正月から松の内の間玄関に備えられている鏡餅に宿るとされています。
ポイント
- 鏡餅とは、日本神話の三種の宝物の一つである鏡を表したものと言われています。
- 鏡開きとは、神様が宿られていた鏡餅をいただき、家族の全員の健康と幸運を願う儀式です。
鏡開きの由来について
鏡開きは、室町時代以降の武家屋敷から始まったとされています。その当時、鏡餅を切り分ける動作が切腹を連想させたため、刃物は避けられ、木槌で叩いて手を使いながら割られていました。
現代では、切腹という意味合いは薄まっていますが、神様を切ることに繋がるため、鏡餅には刃物を使わない風習が今も残されています。
昔から日本の特質として縁起を担ぐ風習がありますが、「割る」という言葉も縁起が悪いとされ、その代わりに運を開くという意味で「鏡開き」が使われてきました。
ポイント
- 鏡餅を細かくする方法として、切腹を連想する刃物は使わず、木槌を使用してきました。
- 「割る」という言葉は、縁起が悪いイメージがあるため、縁起の良い「鏡開き」としました。
2022年鏡開きの日はいつ?
鏡開きの日は、大きく分けて関東と関西で異なっています。
松の内 | 鏡開き日 | |
関東 | 1月7日 | 1月11日 |
関西 | 1月15日 | 1月15日又は1月20日 |
京都 | 1月15日 | 1月4日 |
他 | 1月7日又は 1月15日 |
1月11日 |
関東を中心とした地域では7日までとなっていますが、関西などでは松の内が『15日』のままの地域もまだまだあります。
北日本・東日本は7日、西日本は15日が多いですが、東海・中部地方は『7日と15日が混在している』など、松の内の期間は地域によってさまざまです。
九州では、久留米市で開かれる『日本三大火祭』の一つ『鬼夜』や、どんと焼きにあたる『鬼火焚き』の開催にあわせて『一部7日まで』を松の内としている地域があります。
三代将軍徳川家光が存命の頃は、関東でも松の内を1月15日までとして1月20日に鏡開きを行っていました。ところが徳川家光が4月20日に亡くなったため、20日が月命日となり仏事とお祝い事の重なりを避けるため、鏡開きは1月20日から1月11日へ変更したと伝えられています。
また鏡開き日の変更に伴い、神様のいらっしゃる松の内が1月15日までだと神様を傷つけることになり不都合なため、松の内を1月11日より前の1月7日までに変更したと言われています。
ポイント
- 鏡開き日は、関東では1月11日、関西では1月15日の所が多いです。
- 関東の鏡開き日は、三代将軍徳川家光が亡くなった日の影響で1月11日になったと伝えられています。
酒で行う鏡開きもある
昔からお酒には神聖な意味合いがあります。現在でも神事や祈願、祝賀会などで酒樽が登場し、酒樽の蓋を木槌で割って参列者が酒を酌み交わすシーンがよく見受けられます。
実はこの酒樽の蓋を割ることも「鏡開き」と呼ばれています。
酒樽の蓋を「鏡」と呼んでいたことや、縁起の良い「神秘的な気」が樽から放たれて、参加者全員が良い運気をいただくという意味で縁起の良い「開く」という言葉になったようです。
鏡餅においても酒樽においても「鏡開き」の行事は、心新たに無病息災や幸福を願う慣わしとして現代に繋がっています。
ポイント
- お祝い事で酒樽の蓋を木槌で割る行為も、「鏡開き」と呼ばれています。
- 無病息災や幸福を願う縁起の良い行事として、お祝い事などで折々に「鏡開き」が登場します。
鏡開きの正しいやり方
- 伝統的な方法としては、乾燥している鏡餅を木槌や金槌で少しずつ叩いてヒビを入れ、手で割りながら細かくしていきます。
- 鏡餅が半生の状態など、乾燥具合によっては、木槌や金槌では割れない場合があります。その場合は、鏡餅を水に半日から一日ほど漬けて少し柔らかくして手で割りましょう。
- それでもまだ割れない場合は、電子レンジを使うと良いでしょう。水に漬けた餅を電子レンジに少しかけると、柔らかくなりますので手でちぎってください。
ポイント
- 乾燥した鏡餅は、木槌や金槌で叩いて細かくすると良いでしょう。
- 半生の状態ですと木槌では割れないので、水に鏡餅を半日ほど漬け、電子レンジで柔らかくしてちぎります。
鏡開きで大切なのはお餅を食べること!
鏡餅を砕いて満足してはいけません。正しい鏡開きとは、鏡餅を食べることにあります。
そもそも、お正月とは神様を迎え入れることを意味します。
中でも鏡餅は人と神様との間をつなぐ神聖なものとしてお飾りされるようになりました。丸い形をしたお餅はまるで鏡のような形をしているので神様をお手本にするという意味、そして、家庭円満の意味も重ねて持つようになりました。
そして、その神様の居場所となるのがこの鏡餅です。
神様が去った後の鏡餅にはとてつもないパワーが宿るとされていますので、その鏡餅をいただくことで無病息災を願うことが鏡開きとされています。
おすすめの食べ方1.お雑煮
お雑煮はもともと、年神様にお供えした鏡餅をいただくための料理とされています。 お正月に食べるお雑煮の歴史は古く、始まりは平安時代だといわれ、餅は古くから農耕民族である日本人にとって、お祝いごとや特別な「ハレの日」に食べる「ハレ」の食べ物でした。
年神様に供えた餅や里芋、にんじん、大根などを、その年の最初に井戸や川から汲んだ「若水」と、新年最初の火で煮込み、元旦に食べたのが始まりといわれています。雑煮の語源は「煮雑ぜ(にまぜ)」で、色々な具材を煮合わせたことからきています。
お正月の三が日におせちやお雑煮を食べる際には「祝い箸」という両方の先が細くなったお箸を使いますが、これは取り箸と食い箸の両方に使えるように……というわけではなく、一方を人が使い、もう片方は神様が使う「神人共食」を表したものです。
このようにお水や箸にまでこだわりがみられるエピソードからも、雑煮がいかにハレの日の食べ物かがうかがえます。
おすすめの食べ方2.お汁粉
その理由はおしるこに小豆が入っているからです。
小豆は魔よけになるという中国の風習がありました。
このゲンを担いで、取り入れはじめたことで、日本でも小豆は魔除けの効果があるという認識が広まっていたのです。
武家が力を持っていた鎌倉時代から江戸時代は、鏡開きのおしるこの習慣がありました。
新年新年に小豆の魔よけ、鏡餅の神様の力、その両方をいただくことにより無病息災を願ったのです。
鏡開きまとめ
現代では、鏡餅に見立てられた容器の中に包装された小餅が入っている商品が現れ、カビの心配もなく、手軽に食べることができ、利便性から人気がありますね。
しかし、手軽さと引き換えに鏡開きが持つ本来の意味や風習が薄れ、後世に伝わりにくくなっています。次の世代に繋げていくためにも、伝統的な鏡餅の飾り方や鏡開きを行っていくのはいかがでしょうか。
鏡開きとは?その意味について