勤労感謝の日とは？祝日制定の意味や由来、新嘗祭との関係についても紹介！

勤労感謝の日とは、国民の祝日で、働いている人に感謝する日または働ける職場や健康など、働けることに感謝をする日と思っている人も多いようですが、実は起源に大きな意味が隠れているようです。

勤労感謝の日は、毎年「11月3日」と定められており、祝日です。近年政府の法改正により、国民の豊かなゆとりある生活の実現を目的として「ハッピーマンデー制度」が発足しています。祝日を月曜日に移動し連休が多くなる政策ですが、「勤労感謝の日」はハッピーマンデー制度に該当しないため、「勤労感謝の日」が「11月3日」から変更になることはありません。

勤労感謝の日は、賃金を得るための労働だけでなくボランティアなどサービスの労働を含めたすべての労働に感謝し祝う日と考えられます。

「勤労」の意味は、辞書によると「仕事に真面目に取り組み、心身を使って一生懸命に働くこと」「賃金をもらい一定の時間仕事をすること」と説明していますので、「勤労」という漢字から意味を読み解くと、社会のために働いている人、または貢献している人全般に当てはまることになります。

勤労感謝の日の意味は、現在の日本の祝日法によると「勤労感謝の日」を「勤労をたつとび生産を祝い、国民互いに感謝しあう」日としています。
国民の豊かさは、農作業や肉体労働だけでなくさまざまな研究や各種サービス、芸術や文化的な功労などいろいろな分野で働く人によってもたらされます。つまり「勤労感謝の日」は、「すべての職業を大切に考えそこから得られる生産を喜び、国民全員で祝福し合う日」と考えられます。
中には一家の大黒柱であるお父さんに感謝を表す日としてイベントを催す家族もありますが、それは価値あるとらえ方ではあるものの、「勤労感謝の日」の意味においてはもっと広く深い意味となります。

「勤労感謝の日」と「新嘗祭」は、一見つながりがなさそうですが、実は興味深い関係があります。

勤労感謝の日の由来は、「新嘗（にいなめ）祭」という行事になります。

日本では古くから、稲や粟など五穀の収穫物を神様にお供えし収穫物に感謝する風習があります。現在でも宮中や多くの神社では五穀豊穣の収穫祭を執り行っています。
11月3日は勤労感謝の日として祝日になる前からもともと祭日として存在し、戦前までは収穫物の感謝の日として皇室行事の一つ「新嘗祭」が執り行われていました。現在では「新嘗祭」が形を変え、11月3日は「勤労感謝の日」として国民に広く知られています。

勤労感謝の日の由来となる「新嘗祭」とは、天皇が執り行う五穀豊穣の収穫祭のことで、「新嘗祭」の「新」は初穂を意味し「嘗」はご馳走のことを意味しています。天照大神やすべての神様に収穫物をお供えし、天照大神の子孫である天皇が自ら収穫物を食して恵みに感謝する祭事です。

新嘗祭が勤労感謝の日になった経緯は、第二次世界大戦後の連合軍総司令部GHQの占領政策によるさまざまな変化が大きく影響しています。一つに天皇と国民の関係を切り離す政策があげられます。連合軍総司令部GHQの命令により、祭日（皇室を中心とした神様への祭り）は祝日から外されました。そこで、皇室の特色をなくし労働と生産物に感謝を表す日として、11月3日を「勤労感謝の日」と定めました。

勤労感謝の日は、11月ですので紅葉が美しく、季節的にも家族でお出かけシーズンといえます。また、「勤労感謝の日」にちなんで、各地方では子供たちが両親の仕事の大変さを知るためのイベントが開催されています。現在でも11月3日に「新嘗祭」のお祭りを行っている神社があり、伊勢神宮ではすべてではありませんが「新嘗祭」の観覧が可能です。

勤労感謝の日は、昭和23年7月20日に法律により公布され、同じ昭和23年に制定されました。「勤労感謝の日」の前の「新嘗祭」に関しては、起源の特定はされていませんが、日本書紀の中では643年前後の飛鳥時代に始まったとされています。また、万葉集の中に「新嘗祭」関係の和歌が存在しています。

勤労感謝の日は、今では「労働や生産に感謝する」祝日として存在していますが、由来からすると日本に古くから伝わる「収穫物に感謝する宮中の祭事」ということがわかります。「勤労感謝の日」の意味を子供たちと一緒に考え、恵みへの感謝が日本の「ありがとう」の精神へつながり、「両親への感謝」へと続いていくことは良いことです。