
龍神のアマちゃん

金龍の͡コガネ丸
祇園祭の季節の京都で「蘇民将来子孫家門」というお守りを玄関に飾るのは疫病から免れるという意味があるんですね。

龍神のアマちゃん
2020年はコロナはんの大暴れでどこも大変やけど、今こそ蘇民将来のパワーで疫病から守られような~
蘇民将来とは誰?謎の多い伝説の人物
蘇民将来(そみんしょうらい)とは、蘇民将来説という説話に登場する人物で、その説話から派生して「疫病除けの神」「福を招く神」として民間信仰の対象となっている神のことです。
また、現在では護符やしめ縄飾りに「蘇民将来子孫家門」と、蘇民将来の名が記されていることがあります。
本記事では「蘇民将来とはなにか」について、さまざまな角度から迫っていきます。
蘇民将来とは人物の名前を意味する
実は、蘇民将来とは説話に登場する人物の名前に由来します。
蘇民将来が登場する説話は、備後国風土記の逸文(現・広島県東部)に残っており、説話のなかでは蘇民将来と弟の巨旦将来(こたんしょうらい)が登場します。
兄弟の性格の違いによって、そのあとに訪れる結末も異なります。内容については後述しますのでご覧くださいね。
さらに、全国各地に蘇民将来の説話があり「蘇民祭」としてお祭り行事のひとつとなっています。特に岩手県奥州市の黒石寺蘇民祭は選択無形民俗文化財にも指定されいます。
蘇民将来の民間信仰の伝説
蘇民将来の伝説は、スサノオノミコトが登場するバージョンと牛頭天王が登場するバージョンがあり、おおまかな流れは一緒ですが差異があります。ここでは、備後国風土記をもとにスサノオノミコトのバージョンを紹介します。
ー蘇民将来の説話の内容ー
<登場人物>
・蘇民将来:貧しいけれど、優しい心の持ち主
・巨旦将来:蘇民将来の弟。お金持ちだけれど、底意地が悪い
・武塔神(むとうしん、むとうのかみ):身なりは質素だけれど、由緒ある神様。実の名は・・・?!
むかしむかし、北の湖にいらっしゃった武塔神は、自分のお嫁さんを探しに旅に出ることにしました。旅の途中、武塔神は里のお金持ちである巨旦将来に宿泊を願い出ますが、武塔神の質素な身なりを見た巨旦将来は意地悪く断ります。
武塔神は困り、さらに宿を探していると蘇民将来の家に辿り着きます。宿泊を願い出ると、蘇民将来は「うちは貧乏ですが、それでもよければ是非」と、心づくしのもてなしをします。
武塔神は蘇民将来の優しい心に感激しました。
その後、武塔神は南の海の神の娘と結婚し、八人の御子を授かります。そして国に戻る途中、「蘇民将来にあの時のお礼をしよう」と再び里を訪れました。そして蘇民将来に会い「子孫はいるか」と尋ねます。「妻と娘1人がおります」と蘇民将来が答えると、「ではその妻と娘に茅(かや)で輪を作ってあげて、その輪を腰の上につけさせるように」と伝えます。
するとその夜、茅の輪をつけていた蘇民将来の娘以外の里人は皆、疫病によって死んでしまったのでした。
その後、武塔神は蘇民将来の娘のもとに訪れこう言います。
「私は実はスサノオという神だ。後の世でも厄災を避けるためには『私は蘇民将来の子孫である』と名乗って茅の輪を腰につけるようにしなさい。そうすれば、今後も疫病からのがれることができるだろう」
武塔神と牛頭天王
備後国風土記の伝説では、武塔神はスサノオノミコトと名乗りましたが、素性については諸説あります。そのうちの一つが「牛頭天王」という説です。『伊呂波字類抄』という13世紀の辞書では、牛頭天王の別名として武塔天神と記されています。
牛頭天王は薬師如来の化身でもあり、祇園精舎の神でもありますが、スサノオノミコトと習合(宗教において二つ以上の教義が折衷)したと考えられています。つまり、武塔神→スサノオノミコトとも牛頭天王とも捉えられ、スサノオノミコト≒牛頭天王という関係といえます。
ちなみに牛頭天王バージョンの蘇民将来説話では、怒ると怖ろしい力をつかう猛々しい神の一面が表現されています。
蘇民将来はスサノオの神様を助けた人物の名前やで。
親切な蘇民将来をスサノオはんは気に入って、「蘇民の子孫だけは疫病から守ったるわ」っていうお守りをくれたんや。