菊理媛神(ククリヒメ)という神様の名前を聞いたことがあるでしょうか?
ククリヒメは古事記には登場せず、日本書紀で国産み神話の伊邪那岐、伊邪那美の別れの場面で一瞬だけ登場します。白山で信仰されている縁結びの神様としてのイメージの方が強いかもしれませんね。
この記事では、日本書紀におけるククリヒメの物語やご利益を解説するとともに、後半ではスピリチュアルメッセージをお伝えするので、最後までお付き合いいただければ幸いです!
菊理媛神(ククリヒメ)とは?
ククリヒメは、古事記に記載がなく日本書紀の一文に登場するだけの女神です。
黄泉の国と現世の境目とされる黄泉比良坂(よもつひらさか)で、口論となる伊邪那岐と伊邪那美の物語は、神話の中でも有名なワンシーンといってもいいでしょう。
死者となり美しい姿を失った伊邪那美と、醜くなった姿を見て恐ろしくなり、現世に戻ろうとする伊邪那岐の口論は、ともに感情をぶつけあう激しいものでした。
しかしそこで、伊邪那岐に声を掛けたのがククリヒメです。
このときどんな言葉を使ったのかはわかりませんが、伊邪那岐はククリヒメを褒め、機嫌を直します。
そして、伊邪那岐は現世に戻るとみそぎを行い、天照大御神、月読尊、須佐之男命の三貴子生まれるのです。
もし、ククリヒメが上手に二神を別れさせなければ、この神々は生まれなかったかもしれませんね。
存在も謎なら、どんな言葉でうまく縁を切らせたかわからない…ククリヒメのミステリアスな魅力は、こんなところからも感じられます。
ククリヒメは和合の神です。黄泉の国と現世の境の黄泉比良坂(よもつひらさか)で争っていた伊邪那岐と伊邪那美を仲直りさせたことから、縁結びとともに縁切りのご利益がある女神といわれています。
ククリヒメの名前の由来
ククリヒメは、伊邪那岐と伊邪那美の縁をきれいに切りまとめたことが、神話に残る唯一のエピソードです。
この伝承の中で、仲を取り持ったことから「括り(くくり)」という呼称が生まれたといわれています。
お互いの言い分を聞いたということから、「聞き入れる」が転じたという説も、伊邪那岐と伊邪那美の仲裁をしたところから来たものでしょう。
菊の文字が使われたのは、菊の古い呼び名が「クク」だったことから当てたとされています。
また、この説とは別に菊理媛神には、水神としての伝承が残っています。
ククリヒメを信仰する白山は大きな龍脈が通った霊山です。
龍脈とは、陰陽道や風水で繁栄する土地にあるといわれる龍穴(りゅうけつ)へ向かう流れをいいます。
白山を流れる龍脈は、富士山につながっているといわれているのです。
「くくるひめ」の頭にその名称は「潜る(ククる)」から来ているともいわれています。
ククリヒメの別称
日本書紀では、「菊理媛神」として登場します。神話の中では、他に出てきませんが、白山信仰の重要な神であるため、白山に縁のある別名が多数存在します。
- 白山比咩大神(シラヤマヒメノオオカミ)
- 白山妙理権現(ハクサンミョウリゴンゲン)
- 白山神(シロヤマカミ)
- 菊桐姫(ココリヒメ)
- 久々理姫命(久々利姫命)
という別称は全国の神社で祀られる際の呼び名としてのものになります。