スサノオは古事記でも荒々しい神として有名な存在です。イザナギの禊から生まれた三貴子の一柱でありながら、乱暴狼藉を繰り返し、姉のアマテラスが天岩戸に閉じこもるきっかけをつくるなど高天原でも手に負えない存在でした。
しかし、高天原を追放されたのちは八岐大蛇を倒し根の国を治めるなど、強力な神として古事記の全編に影響を及ぼします。
この記事ではそんな破天荒な神・スサノオについて解説します。
須佐之男命(スサノオノミコト)とは?
須佐之男命(スサノオノミコト)とは、伊邪那岐命(イザナギノミコト)が黄泉の国の穢れを落とすためにおこなった禊の際、天照大御神(アマテラスオオミカミ)、月読命(ツクヨミノミコト)に次いで、鼻をすすいだときに誕生したとされる神様です。
須佐之男命は、八岐大蛇を退治する物語が有名なため、英雄としてのイメージが強いですが、実は多面性を持った謎の多い神様です。例えば、八岐大蛇を退治する前の物語では、高天原で乱暴狼藉の限りをつくす荒ぶる神としての姿が描かれていますし、退治後の物語では、和歌を詠む賢い姿などが描かれています。
物語によって性質が大きく変化することから、複数の神様の話が素戔嗚尊に集約されたとする説や荒ぶる神の穢れが祓われて英雄となった説など、さまざまな解釈がされています。
素戔嗚尊(スサノオノミコト)の系譜
素戔嗚尊は、父に伊邪那岐命を持ち、兄(姉)には天照大御神と月読命がいます。母は伊邪那美命(イザナミノミコト)です。
また、天照大御神との誓約(うけい)の際には、素戔嗚尊が天照大御神に差し出した剣から宗像三女神(むなかたさんじょしん)が生まれています。
ちなみに、八岐大蛇を退治して助けた女神は、後に須佐之男命の妻となる櫛名田比売(クシナダヒメ)で、その子孫には大国主がいるとされています。
スサノオノミコトの別称
須佐之男命は、以下のような別称もあります。
- 速須佐之男命
- 須佐之男命
- 素戔男尊
- 須佐乃袁尊
- 須佐能乎命
- 建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)
- 神須佐能袁命(カムスサノオノミコト)